【報告】ギャラリー73 和紙と珊瑚と花個紋

2019年12月3日~14日

クリスマスを目前にした12月初旬の店内ギャラリーは、花個紋。

今年の5月に店内でお花をモチーフにした紋「個紋」の切り絵ワークショップを開催した、個紋研究所 寺本哲子さんの個展です。一日にひとつずつのお花の紋を考案した「366日の花個紋」は、出版もされ、多くの女性を中心に、関心の輪が広がりつつあります。

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寺本さんは長年、全国の伝統的な手仕事や文化を訪ね、掘り起し、広めてきました。今回の展示では、その中で、10年前に出会った石州和紙や、令和元年に出会った「高知の宝石珊瑚」ともコラボしたユニークなクリスマスの表現に挑戦しました。

●十二月カ月の花個紋 -------------------

まず、店内に入って一番に目に飛び込んでくるのが、こちらのタペストリー。

日々の花個紋がひと月ごとにタペストリーに表現され、ぐるりと2面の壁一面、366の花個紋を眺めることができます。タペストリーの素材は、石州和紙です。

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日々の個紋は、花言葉のように、その日生まれた人にちなんだ花の名前と性質あります。お客様たちは、お茶を飲み、おしゃべりをしながら、まるで占いを見るように、寺本さんの著書を開いておしゃべりする様子がみられました。

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ポストカードに記した作品は、自分や家族の誕生日を探す人でにぎわいました。

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●1300年変わらない製法の石州和紙---------

国内の伝統的な技術や手仕事を愛する寺本さんが、10年前に出会ったのが、石州和紙です。

窓辺には、2011年に、財団法人伝統的工芸品産業振興協会主催の伝産フォーラムグランプリを受賞した石州和紙で作る「神の国から紙の靴」が展示されました。

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そして、会期後半には、和紙に花個紋を切り抜いた作品が、壁面のあちこちを、美しく彩りました。

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●高知の宝石珊瑚 ----------------------

窓際のカフェテーブルを見下ろす壁面には、寺本さんが今年、令和元年にであった高知県の血赤サンゴを使った作品。こちらも石州和紙に珊瑚をあしらうコラボ作品となりました。

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●ウィンドウアートにも挑戦--------------

好奇心旺盛な寺本さんは、パンオスリールのこれまでのギャラリー展示で様々な作家さんがウィンドウアートをしているのを見て、ご自身も大きな窓にキットパスでウィンドウアートに挑戦することを決めていたそうです。

初めて使うキットパス。紋切りした花個紋をキットパスで塗りこみ、周囲には、和紙の雪を降らせました。クリスマスにぴったりの幻想的な世界が広がりました。

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昼は昼の良さ、夜は、本当に雪が降っているかのような、厳かな気持ちになる和紙の雪たちでした。

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会期中に作品展を見に来た、キットパスの日本理化学工業さんのインストラクターでもある大山真理さんと対面。塗りこむのにぴったりのタイプのキットパスを紹介してもらいました。行動的な寺本さんは、すぐにその画材を購入し、翌日には、新しい個紋をまた、ウィンドウに書き込んで試すなど、本当にその好奇心と行動力には感心します。

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●イベントその1 オープニングレセプションと曲げわっぱ-----------

寺本さんのかかわるもうひとつの伝統工芸が、曲げわっぱ。お弁当箱など、秋田産で有名なわっぱですが、なんと、「パンのための曲げわっぱ」が、開発されたそうです。この器の良さを広めるために、今回の展示のオープニングレセプションで、パンオスリールのパンとコラボしてみたい、というご希望がありました。様々な形のわっぱに、すべて異なるパンやサンドイッチを盛り付けてほしい、というオーダーです。

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こちらが一覧です。「バゲット専用の曲げわっぱ」もあるのがびっくり。まるごと一本のバゲットでサンドイッチを作って、詰め込んでみました。楽しいし、おいしそう。何より、通気性がよく、しかもぱさぱさになりにくいという優れものです。

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レセプションでは楽しいおしゃべりが続き、これから始まる2週間のワクワク感が感じられるひとときでした。

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●イベントその2 珊瑚でつくるアクセサリー----------

12月4日(水) 16:00~18:00

【講師】 安並美穂(株式会社ケンセン35)

オープニングレセプションの前に、寺本さんが今年であったという、高知県の宝石珊瑚(血赤(ちあか)サンゴ)を使ったワークショップが開催されました。

サンゴと聞いて何を思い浮かべますか?宝石サンゴは、サンゴ礁とは違って日の光の届かない深海でゆっくりと育つサンゴです。高知県の沖の太平洋には、世界でもここだけにしかない血赤(ちあか)サンゴと呼ばれる、透明感のある深い赤い色の希少なサンゴがあります。そのサンゴの自然の形の枝をつくってアクセサリーを作成しました。

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様々な色や形の自然の珊瑚をたっぷりと選んで、好きなアクセサリーが創れる贅沢なワークショップ。参加した方は、お得でしたね!

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ピアスやネックレスなど、素敵な作品がいっぱい、すぐに持ち帰って使えるのもうれしい。

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●イベントその3 紋切りワークショップ---------------

12月6日(金) 16:00~18:00

石州和紙と色紙を使って、花個紋の切り絵をしました。クリスマスやお正月に飾るのにもぴったりのLEDランプを作成しました。

色々な柄や色を組み合わせながら、楽しいひと時。

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自分や家族の誕生日の個紋を選んだり、色を選んだりの楽しみも。

かわいらしいランプが完成しました。灯りをつけるとかわいいですね。

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会期中に、店内で朗読会を開催する方も参加。ギャラリーを利用した作家や店内で開催したイベントの主催者が、ほかの方のイベントに参加するのも、パンオスリールの特徴。

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●イベントその4 フラワーアレンジメント「クリスマスツリートピアリー」-------

12月13日(金)

【講師】石原 功子

5月に、店内で、お花のグループ展を開催した石原功子さん。 石原さんの展示会の中でワークショップを開催し、今回の展示を企画した寺本さん。その寺本さんの展示会で、また石原さんがクリスマスのワークショップを開催しました。お花がつながる縁は深いですね。

生のヒムロスギを使い、小さなクリスマスツリーを作りました。

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盛りだくさんの枝を選んでオアシスに枝を挿し、ツリーの形を作り上げます。最後にはキラキラと飾りを…

 

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できあがりは、こんなに愛らしい小さな本物のツリー。

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素敵なクリスマスが迎えられそうですね。

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パン屋も飾らせていただきました!

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●イベントその5 ぽち袋を彩る紋切り--------------

12月14日(土)

最後のワークショップは、再び個紋です。石州和紙を使った折形のぽち袋に、自分で切った紋切りをあしらいました。

 

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参加者の皆さんは、誰に送るか思い浮かべながら花個紋や季節の紋切りを選びました。

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●場を楽しみ、ふれあいを楽しみ、パンを楽しむ-------

寺本さんは、これまで様々な日本の伝統工芸に関わってきました。そして自身で考案した個紋も出版されるほど。今回の展示は、それらを一堂に集め、パン屋に来る様々なお客様と共有する試みでした。

毎日、会場のパン屋を訪れた寺本さん。様々なシーンでこれまで出会ってきた仲間達がやってきました。

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また、会期中には同じ場所で朗読会のイベントが開催されました。寺本さんは快く、会場と時間を提供してくれました。個紋に囲まれ、最高の演出になりました。これをきっかけに、朗読会の主催者が、個紋のワークショップに参加するなど、楽しいつながりが生まれました。

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3人の子育てをする寺本さんは、小さな子供が大好き。パン屋に来る子供たちのために、急きょ、お絵かきコーナーを開設するなど、次々とアイディアがうかびます。

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●美しい写真の数々 そしてこれから--------------------

一眼レフを抱えて毎日訪れる寺本さん。パンの写真や、訪れたお客様の写真もたくさん撮ってくれました。

その視線は、あたたかく、ひとつひとつの手仕事を大切につないでいきたいという思いでこれまで日本全国の職人を訪ねて行った寺本さんならではの切り取り方を感じます。

今回の展示は、彼女の一部。まだまだたくさんの引き出しがありそうです。

2021年の春、またさらにパワーアップして開催する予定です。お楽しみに!

作家より--------------

ご来場頂いた方、気にかけていただいた方ありがとうございます。 今回はとても楽しい2週間でした。 ついつい頑張って説明してしまう展示会… 売り上げのために頑張ってしまうポップアップ も楽しいですが、 カフェでする個展はただきてくれた人と楽しい時間を共有する場所 パンもコーヒーも美味しいパンオスリールさんでは、居心地がいいのか最長3時間も話し込む友達もいて、毎日なんとも贅沢なじかんを過ごさせていただきました。 そして 何か伝えたいことがある 表現したいことがあるというのは幸せなことだと 改めて感じるのでした。 次は2021年3月に開催決定です。 更なる探求をして帰ってきます。

ご協力いただいた石州和紙川平さま サンゴマニアの安並さま ご縁繋いでワークショップもしてくれた石原さま お世話にになったパンオスリールの皆様 ありがとうございました。

寺本哲子

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プロフィール  寺本哲子

作家

2003年より家紋ならぬ個紋(個人の紋章)をテーマに個人の紋章づくりや、誕生日の紋「366日の花個紋」干支個紋などを発表している。2009年「366日の花個紋で伝統工芸をお誂え」で京都ベンチャーコンペティション知事賞受賞。2011年石州和紙で作る「神の国から紙の靴」で財団法人伝統的工芸品産業振興協会主催の伝産フォーラムグランプリ受賞。著書「花結び手帖―366日の花個紋」青幻舎刊

 

協力

石州半紙 石州和紙 かわひら

宝石珊瑚 株式会社ケンセン35

 

★期間中は、オープニングレセプションと、4つのワークショップを開催します。そちらもぜひご参加お待ちしています。http://pain-au-sourire.jp/?p=10594

会期中のイベントについて-------------------

お問合わせ・申し込み先  TEL  042-718-7587  email:  sango@hanakomon.co.jp

ホームページ  http://www.komon-art.com

●オープニングレセプション

12月4日(水) 18:15~19:30-参加費無料。出入り自由。

お気軽にお越しください。お店自慢のパンとドリンクをご用意しています。

●ワークショップ1 サンゴで作る手作りアクセサリー(定員6名)

【開催日時】12月4日(水) 16:00~18:00 

【参加費】 5500円(協賛価格) 

【講師】 安並美穂(株式会社ケンセン35)

●ワークショップ2 紋切りワークショップ(定員6名)

【開催日時】12月6日(金) 16:00~18:00 

【参加費】】2500円ドリンク付き

●ワークショップ2 フラワーアレンジメント「クリスマスツリートピアリー」

【開催日時】12月13日(金)

【参加費】4200円(税込) ※花材、器、持ち帰り袋含む ドリンクは別途ご注文ください。

【講師】石原 功子

●ワークショップ4 ぽち袋を彩る紋切りワークショップ (定員6名)

【開催日時】12月14日(土)

【参加費】 2500円ドリンク付き 

 

各ワークショップの詳細はこちらをご覧ください。http://pain-au-sourire.jp/?p=10594

 

 

 

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