2017年11月1日 ~ 12月2日
2017年、秋も深まる11月のギャラリーは、石田絵美子さんの個展でした。
今年は、第8回イースト・ウエスト・アート大賞ロンドンというコンペでfinalistにも選ばれるなど、国際的にも活躍するアーティスト。
哲学者、九鬼周造の「時間の永遠化」をメインテーマにする石田さんの作品。深い秋にふさわしい作品の数々でした。
作品を紡ぎだすうえで、錆、プラチナ、銀箔、和紙、鉄など、素材にこだわり、そのうえで、その素材の持ち味から生み出される意外性、思いがけない広がりもまた楽しむような、力強い作品が並びました。
訪れた人たちは、絵の前にしばしたたずみ、それぞれの想像をめぐらします。
「着物や帯にしてみたい」「掛け軸にしてみたい」など、いろいろな感想もいただきました。
メインとなる作品は、今回の展示のタイトルでもある「こんやいっしょに月をみよう」…
~天の原 ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出し月かも~
壁一面を錆を使った、大胆な作品。
この作品をテーマに、哲学対話のイベントも開催されました。
★イベント 哲学対話「永遠について考える」
11月11日(土)10:00~12:00
石田絵美子さんによる作品解説と上智大学大学院・岡田基生先生の講義および、哲学対話の会
レポートはこちら http://pain-au-sourire.jp/?p=7509
★九鬼周造の哲学をテーマとした絵画と絵本の発表
作品をモチーフにした、石田さんはじめての絵本の発表もありました。カフェのテーブルに置かれた小さな絵本を手に取る方も多くありました。
折り返しの3週目には、錆の作品から、藍染めの月夜に衣替え。
期間中は、そのほかにも、親しい方が集まったパーティがあり、盛りだくさんの1カ月。
来年5月には銀座で個展を予定しているそうです。今後ますますの活躍が期待ですね。
出展者プロフィール--------------------------------
石田絵美子
幼少の頃から絵が好きで続けている。「自己の存在意義」と「女性の自立」について深く考え込む思春期を過ごす。考えても埒が明かない問題を横に、経済的に自立するために(米国)公認会計士を目指す。資格試験の勉強は過酷ではあるが同時に建設的で心地よく、しばらく監査法人や企業で会計士として働く。2016年に哲学者九鬼周造の著書と出会い、長い間封印してきた自己の存在意義について再び考え直す。そこには論理的且つ明快に人間の存在を肯定する回答が書かれていた。同年、ニューヨークで見たリチャード・セラの作品に影響を受け、鉄を扱い始める。自分にとって芸術表現=生きることであると認識し、現在は九鬼の哲学を柱に作品を制作中。日本の美を研究し、独自の方法で表現・伝承していくこともアーティストとしての使命だと感じている。 また、絵本の制作にも精力的で、将来的には傷ついた子供向けに絵本を作りたいと考えている。