2018年10月30日(火)~11月24日(土)
ずっと前にも感じた
ずっと先にも、この感覚は訪れるだろう
空の高さ、月は優しい
言ってくるね、や、もう帰ろう
いつまでも続くような光景、いつまでも
2018年、秋も深まる10月末から11月にかけて、おなじみの渥美順子さんの個展が開催されました。
パンオスリールが、この渋谷の地でギャラリーを併設したパン屋をオープンして以来、ご自身の個展はもとより、仲間を集めたグループ展や、ライブのプロデユース、楽しいワークショップ、そして海外で活躍する作家の個展をサポートするなど、八面六臂の活躍をしてくださったJUNKOさん。
そして、パンオスリールのすべての個展を、見続けてきたアーティストとして、満を持して、ご自身のつくりためた作品をお披露目です。
今回のレポートは、作家・渥美順子さんのSNSから拝借した美しい写真の数々と、少しだけパン屋の撮った写真をとりまぜて報告します。
●作品の数々------------------------------
今回の個展は、写真好きでもある彼女が撮りだめた故郷の川や山をバックにコラージュをし、新たな景色を生み出した作品群と、
アンティークの小物や布、部品など、様々なモノたちを、額縁という宝箱に詰め、立体的な作品に仕上げた作品群です。
古いヨーロッパの雑誌や新聞から切り抜いた人々は、なぜか誰もが、「これ、懐かしい」「これ、私かもしれない」とよぎってしまうような仕上げになっています。誰も使わなくなったハーモニカの部品までもが、生き生きと、いつかの時代をよみがえらせてくれています。このマジックは、彼女の写真と、絶妙な小物たちの選び方、そしてコラージュの力です。
近くによって、見てみましょう。ひとつひとつのパーツの位置や、置き方に、独特の世界が広がります。どこにもないたったひとつの世界なのに、どこかで体験したような気持ちにさせる。誰も使わなくなったものなのに、もう一度、傍に置いておきたいモノたちばかりです。
作品を小さなポストカードにしたものも販売。こちらは、会期終了後も、常設販売することになりました!
●詩の力 -----------------------------
作品をじっくりと鑑賞した後、下方に目をやると、小さなパネルに、詩があります。
作家・渥美順子さんは、コラージュ作品とともに、それに合う詩をしたためています。初めは、メインディッシュに添えられたミニサラダのような感覚だったかもしれませんが、その詩の深さに、訪れた人たちは一様に感動。「こんな素敵な言葉、どうやったら頭に浮かぶのかしら」「もっと読みたい」という反響。直接お聞きすると、やはり、推敲に推敲を重ね、選び抜いた言葉たちだそうです。それはまるで、コラージュするモノを選び、配置を考えるのと同じような感覚ではないでしょうか。彼女特有の手法で、詩を紡いでいるのではないかなと感じました。
●笑いとおしゃべりも楽しいワークショップ-------------------------------
期間中は、出入り自由のコラージュカード作りのワークショップを、何度も開催しました。
渥美順子さんの選んだ、かわいくてウキウキするようなモノを選び、オリジナルカードを製作するワークショップです。
布、ボタン、切手、地図、辞書や雑誌の切れ端、、。
自由に貼った後に、最後の仕上げに何を置くか、先生がアドバイスしてくれます。ちょっとした配置の変更や、ボタンを一つ足すなどのマジックで、見違えるほどかわいくなる不思議な体験。集まった皆で、パンを食べ、お茶を飲みながらワイワイと。
先生も、こんなときは、思い切り遊べる、、と、愛犬を思いながらユーモラスなカードをたくさんつくりました。
パン屋も、パリのパンの写真を切り抜いて、初挑戦。とっても楽しい。
●たくさんのお客様--------------------------------
会期中は、本当にたくさんの方がいらっしゃいました。友人・知人、パン屋ギャラリーで知り合ったアーティストたち、、。渥美順子さんの交友関係の広さを改めて感じるとともに、作品をじかに見たい!というファンの方、そして、ギャラリーを楽しみにしているパン屋のお客様たちなども加わり、このギャラリーの歴史とともに歩んできた作家さんならではだなと感動しました。
渥美順子さんは、同時期に、銀座でグループ展でも作品を発表しました。彼女の師匠、河田ヒロさんとその仲間たちのグループ展。
そちらの展示会とはしごで鑑賞しにくる方も多く、最終日ぎりぎりには、師匠・ヒロさんもご来店。
●パンと、パン屋への愛。------------------------------
日頃から、週に何度もパンを買いに、お茶を飲みに、おしゃべりをしに、やってくる今回の作家さん。
パンへの愛と、パン屋を大切に思ってくれる気持ちが、撮った写真の中にあふれているようで、本当にうれしい気持ちになりました。
会期中も、パンを食べ、ランチを食べ、サンドイッチをほおばり、毎日、パンを買い、テレビや雑誌に出れば紹介し、シュトーレンの予約が始まれば紹介し、、、。そして作品とパンのコラボ写真もたくさん撮っていただきました。ありがたすぎます。
●そしてラストデイ------------------------------
長いようで、あっという間でもあった1カ月。いつものお客様、、から、アーティストの顔になった1カ月でもありました。
最終日は、ひとつひとつの作品を外しながら、日々の様々な出来事を思い出し、かみしめるようなラストデイとなりました。
渥美順子さん。来年は、ずっとしたかったことに挑戦する予定。
再来年春、またこのギャラリーに戻ってきます。お楽しみに。
Junko Atsumi (ニックネーム anzu)-------------------------
図案作家/コラージュ作家 約17年の会社勤務で企画・販売促進の仕事を経て、2005年頃からシルクスクリーンや印刷、縫い物などでステーショナリーや小作品を作り始める
2009年より 「アトリエ アシェルカの手シゴト展」春秋展示会に参加し、コラージュステーショナリーなど出品し、2018まで10年間参加
2012年より 「河田ヒロのコラージュレッスン グループ展」この回より1年半毎に出展し、2018秋で6回目を迎える<銀座ACギャラリー>
2013年「雛あそび」展 <吉祥寺クラフトFav.>(銀座ACギャラリー企画)
2013年秋「おしゃれ×かわいい年賀状」掲載(技術評論社)
以下はパン・オ・スリール展示 2014年5月 モノ思う コラージュ展「果てしなさ」「パンと犬」
2014年12月「あたたかな贈りもの展&マーケット」企画・出展
2015年7月 Creator’s TOTEBAG Exhibition 企画・出展。ものづくりする者が描いたトートバッグ
2015年12月「クリスマスまでの冬あそび展 」イラストレーターきみしまゆきこさんと2人展
2017年1月「深い森のとどけもの」4人展
その他
Nature’s Precious Project コラージュワークショップとウェールズのお話会
Nature’s Precious Project Mari Wirth Solo Exhibition