【報告】パン屋ギャラリー111 いきる・Life 千穂 個展~ 2021_11

2021年11月2日~11月13日

秋も深まる11月。店内ギャラリーは、初めての個展。千穂さんです。

病気のため、片足を失った千穂さん。ずっと続けてきた絵や写真を、今回、個展という形で披露し、作品を見た人が、何か「生きる」事について感じてもらえたらと願っています。

作品はアクリル絵の具の絵、アクリル絵の具で塗った画面に日本刺繍の技術を使って刺繍した絵、ペンを使って紙に描いた絵、足を失う前のエネルギッシュな写真と義足になった時のナチュラルな写真、フェイスペイントをした写真など・・・。彼女のlifeを、感じてください。

 

●搬入と出会い

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11月1日。実は、一度もお会いしたことのないchihoさんとの最初の対面は、搬入の日でした。

それまでに、呼びかけ人の飴善さん、大山さんの声かけで、chihoさんを応援したい人の輪が広がり、先代にいるchihoさんとは、リモートでの打ち合わせを軸に、準備が進められてきたのです。

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chiho さんとの対面を待ちわびて、設営搬入の助っ人にやってきた人は数多く、お会いするのを皆、楽しみにしていました。

杖を片手にやってきたchihoさんは、お母様のつくったというお釈迦様のウィッグを早速かぶったり、ひょうきんな一面を披露。

正直、「病気を克服した頑張り屋さん」。。というひとつのイメージしか持っていなかった私は、この一日だけで、chihoさんの様々な面を目にして、早速目からうろこの気持ちでした。

彼女の人生まるごと応援する仲間たちが揃い、皆でワイワイと設営となりました。。

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作品もまた、chihoさんの様々な面を反映したような多様性にあふれたものでした。

壁にアクリル絵の具を打ち付けるような、激しく色鮮やかなアート。

ペンで緻密に描き込んだ動植物。

そして、始めて挑戦した画材・キットパスを使ったウィンドウアートは、冬の空にやさしく羽ばたく鳥が描かれました。窓一面にキットパス で描いた鳥が、未来への希望を象徴するように、空に向かって羽ばたいています。

 

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下の写真右の壁には、フォトグラファーが彼女の日常を撮りためた、chihoさん自身の写真が並びました。

治療のため、片足を切断する前とあとを撮った強い主張にあふれた写真の周りには、カツラをかぶった親族の楽しい写真、家族の日常の写真など、丸ごとをアートにする潔さを感じます。ここでも彼女という一人の人間には多様な側面があり、すべてのピースを集めて生まれたものを、アートという表現によって、吐き出しているのが今回の個展だと言うことを訴えているように感じました。

 

 

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今回の個展の仕掛け人、功労者の皆さん

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最終日は、仙台から親族の皆さんも次々といらっしゃいました。搬出まで、楽しく明るくわいわいとした雰囲気。

この個展を通して、多くの人と出会い、皆がchihoさんにしてあげたこともたくさん、そしてchihoさんからいただいたものもたくさんあったのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

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千穂さんより 個展開催に当たって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

個展をやりたいと思った1番の理由は、応援してくださる方々がいる…嬉しい感謝とゆう事につきます。家族や親戚一同、今まで出会ってきた方々全てです。病院の先生もそうですし、看護師さんやお掃除のおばさん達、同じ病室だった方々、美容師さんやショップのお姉さん…そして、今また応援して下さっている皆さま…。本当に出会う方々に恵まれて生きてきました。とても幸せです。 今まで続けてきた絵や写真を見て頂き何か生きる事に対して感じてもらえたらいいな…と。 たとえくじけそうな出来事があっても、生きていける…立ち上がって空をキレイだなって思える時が来ると…

 

 

 

出展者プロフィール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

素直に生きる、そう決めた。 あるがままに… 自然や偶然の美しさに心をはせ、今日もまた何かを産みだせていけたら幸せだ。

幼い頃から空や月、星ばかり眺めていた。 絵を描く瞬間だけ自分は自由にはばたける感覚だった。

工芸品などの手仕事が好きで収集している。 品々から感じる職人さん達の情熱と手間暇を思うと感動と尊敬が生まれる。

ウエブサイト https://chihoando.jimdofree.com/

instagram  https://www.instagram.com/p/CTk2D91hJu2/?utm_medium=copy_link

(日本理化学工業のキットパスセットでチャレンジしたウィンドウアートのページです。今回の個展でも、パンオスリールの大きな窓に、アートを描く予定です。)

■経歴

高校卒業後、就職。 武蔵野美術大学・通信教育通うが中退。 事務職の傍ら創作し続け、銀や漆や日本刺繍の技術を学ぶ。

紙・漆・革・布・銀・絵の具・クレパス・クレヨン・えんぴつ…etcさまざまな素材を使いながら創り続け現在に至る。

■受賞歴 ・SAPPOROエコデザイン展受賞・4プラ賞(2008年)

・第4回 酒の器展入選(2007年

 

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会期を終えて 作家より・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ご来場頂いた方々、
今回協力して頂いた方々、
ご尽力して頂いた方々、
たくさんの応援をありがとうございました。本当に感謝です。
これからも描き続けてゆきます。

この展覧会の呼び掛け人・仕掛け人である、飴善晶子さんの推薦文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

千穂さんの初めての個展を今、開催できることにとてもワクワクしています。

 夢や目標も心に秘めて続けていても実現することもありますが、ちょっと呟いてみる、伝えてみると驚くほどことが進んで実現することがあります。たくさんの方のご縁送りによって今回の個展を開催することになりましたが、それは偶然でもなく、ご縁を受け取った人がいい人とか力があるとかではなく、千穂さん自身がここまでどのように生きてきたかがそのご縁を呼び、運を導き、チャンスを得ることに繋がったのだと思います。

 千穂さんとの出会いは、友人の疾病がきっかけでした。命を守るためには片足を付け根部分から切断するしか方法がなく、その地に行くと誰もが訪れ食べてみたいという飲食店の主人であり、最高の料理人である友人は、その店の経営すら諦め、全てを売却する決意までする状況でした。その店も料理人としての志事も友人にとっては命そのもの。「何とか諦めないでほしい!」とご家族は友人が考えを変える方法を探し、その一つが義足の有効性でした。早速上京して義足とリハビリの様子を見学にいらしたご家族が出会えた希望がリハビリ中の千穂さんでした。ご家族が撮った千穂さんのリハビリ動画は、友人にまた料理ができる、諦めなくてもいいという生きる力をすぐさま与えることになりました。「こんなに自在に立って歩ける!」「全てを諦めるにはまだまだ早い!できる!やりたい!手術も受ける!」と。

 それから千穂さんと友人とのメールのやりとりが始まり、友人の手術も成功しました。面会がごく限られている中で、私は友人から話を聞いていただけで会ったことのない千穂さんと待ち合わせ、入院中の友人を見舞ったのが千穂さんとの出会いです。長い道中にさまざまなお話をしながら千穂さんのありのままの優しさと強さを感じました。大病により片足を失うということは、単に体の一部を失うということばかりではなく、生活にも変化が生じ、さまざまな葛藤がないはずがありません。しかしながら、千穂さんはそれらをも感謝し自らの生きる力に変えてきたのだろうと感じました。

 それから数年が経ち、久しぶりにご連絡したところ、大好きな絵を描きながら生きるという自己表現をしていて、海外留学や個展をしたいという夢があることを教えてくださいました。そのメールの内容や送ってくださった作品を拝見し、何とか個展ができないかと考え、今回の開催に至りました。これまで歩んでこられた人生を全て抱きしめ、今と未来への思いを表現している千穂さん。私は千穂さんの作品から生きる力と愛をいただきました。是非多くの方にご覧になっていただき、自由に感じていただきたいと思います。

 飴善晶子

ビジハピ企画研究室代表、昭和女子大学グローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科教授

1980年日本の航空株式会社に客室乗務員として入社。客室乗務員として国際線乗務からスタートし、パーサー、チーフパーサー、管理職となった。その間に海外基地アドバイザリークルーとしてフランクフルトで長期出張勤務、客室訓練部教官、本社宣伝部マネジャーとしての職変勤務、客室品質企画部アドバイザーグループ長などを経験し、昭和女子大学出向勤務。2020年3月航空会社を定年退職。現在に至る。

専門分野は、「人とホスピタリティ」「経営とホスピタリティ」で、大学にて研究、教鞭をとりながら、人と人をつなぐイベントやセミナーを企画運営や企業研修などを行っている。

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