【報告】ギャラリー101 源氏物語×和歌×花鳥風月 ゆめ まぼろし スゲノマロ × A.B.Mimura

2021年5月11日(火)~ 5月29日(土)

  GW明けから約3週間、昨年6月の二人展に引き続き、スゲノマロさんと A.B.Mimuraさんの展示が開催されました。

様々な表現で次々と個展を開催しているアーティスト・スゲノマロさんの鮮やかなデザインと、編集者として言葉にこだわり続けてきたA.B.Mimuraさんが紡ぐ独特の世界を楽しみにしていた方も多いはず。

しかし、昨年に続き、東京はコロナウィルスによる緊急事態宣言下でのスタートとなってしまいました。

スゲノマロさんは東京に来ることができず、そろりと開催した個展ですが、離れていても、この展示を楽しく味わえるよう、様々な工夫をこらしました。

実験的な取り組みも含め、これからのギャラリーのあり方をせいいっぱい模索した3週間となりました。

 

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    ●二人展、今年のテーマは「源氏物語」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

紫式部が詠みあげた700を超える和歌から12歌を選定し、スゲノマロさんの艶やかで鮮やかな世界感で平安文学の魅力にせまります。

このテーマに挑戦するまでの軌跡は、A.B.Mimuraさんの言葉をそのままお伝えします。

 
制作ノート【A.B.Mimura】
スゲノさんが、「和のテイスト(オリエンタルな雰囲気)で展示をしてみたいです」とおっしゃいました。「おもしろい題材、推しはありませんか?」と聞かれました。私は、大学時代、国文学を専攻しておりましたので、「万葉集か源氏物語!」と答えた記憶があります。大伴家持、紀貫之や江戸川乱歩もいいのですが、やっぱりちょっと地味すぎる。その流れで、紫式部、源氏物語を語り始めたら止まらなくなり、すんなり、あっさり源氏物語に決まったのでした。(今思えばここが平安文学沼の始まり)沼での格闘はまたの機会にさせていただくとして。源氏物語は全54帖(巻)からなります。100万字、文庫本だと10冊くらいの長編です。主人公は、イケメンで高スペック細マッチョの平安貴族・光源氏。その一生と、亡き後の子孫たちの生きざまが「もののあはれ」として描かれた長編です。今回の展示では、光源氏の10代の熱い恋愛~生涯を終えるまでの、関係をもった女性たちと交わした和歌での交流を中心に、和歌の総数795首から12首選びました。

 【源氏物語概要】源氏はちょっと身分の低い更衣という位のお母さんから生まれた天皇の子です。お母さんは天皇に溺愛されましたが、イジメに会い、それがもとで身体を壊し、若くして亡くなってしまいます。母のような面影のある父の奥さん(義理の母君:藤壺)を慕い、関係を結んだ上に、子どもができます(冷泉帝)。かと思えば、一夜の恋愛があったり、敵対する相手の娘(朧月夜)に手を出して謹慎処分で流されたり、自由奔放、一夫多妻を地で行った貴族の御曹司ですが、一度縁があればとことん世話するやさしい心もあったりします。源氏物語のマンガ「あさきゆめみし」を一読されたことがある方ならこのあたりも詳しいのではないでしょうか。昼メロ系のドロドロ恋愛なのかと言えば、そうではなく、ちょっと憎めない3人(お笑い担当とも呼ばれる)一途な末摘花の姫君、源典侍(おばあちゃま)、愛嬌ある中将の隠し子・近江の君などがいて、その描写は面白く、総勢430人と言われる登場人物の造形があっぱれなのです。1,000年以上も前に描かれたこの物語には、さまざまな魅力がつまっています。当時、源氏に熱狂した貴族の方々、研究者の方々が登場人物の解説本を作ったり、国宝となっている源氏物語絵巻のような絵画として発展したり、貝合わせなどの玩具への進化したりと、ひと言では語れない文化・芸術方面への大きな影響があります。(去年の鬼滅の刃みたいな流行が、作者の紫式部没後もジワジワ1,000年以上続いているという感じでしょうか、、)このような、魅力のつまった「源氏物語」、平安文学の世界に、スゲノマロさんの深みのある絵をはじめの一歩として、踏み入れる機会になればうれしいです。弘徽殿の女御のいじわるさが好き!生霊になるくらい愛情深い六条が好き!葵のツンデレっぷりがたまらない! など、などマスクなしでいつか、源氏好きな方々とお話できる日が来ればと願います  

 

源氏物語研究と、物語への深い造詣のあるA.B.Mimuraさんは、あえて細かなアドバイスは避け、スゲノマロさんのチョイスと、表現を待ったと言うことです。

アーティストの独自の切り取り方と解釈を楽しみに待つことにしたのです。

そして誕生したのが、花や鳥を表現したこの12枚の、墨を使ったアートでした

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グッズもいろいろつくりました  

ポストカードセット「ゆめ」「まぼろし」

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クリアファイルは三種

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メモ帳と、全作品とうたをを綴じ込んだ小冊子

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小冊子を手に、店内を巡るお客様  

「ちょうど、源氏物語を読み始めたばかり !」。偶然の出会いに感動し、小冊子を広げながら一つ一つ画を見て回るお客様。

お茶を飲みながら、パンを食べながら、ゆっくりと感想を書いていくお客様。

会えないけど見に来ました!というスゲノマロさんの縁の方々。

「去年のテキスタイルと全然違う作品にびっくり!」という、ギャラリー常連のお客様たち・・・。

様々な方が、源氏物語の世界を楽しみました。

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●コロナ禍で離れていてもつながるコミュニケーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

福島にいるスゲノマロさんは東京に来ることができず、そろりと開催した個展ですが、離れていても、この展示を楽しく味わえるよう、様々な工夫をこらしました。

【実験的な取り組み】

1)パンオスリール初のリモート在廊(スゲノマロ)

A.B.Mimura さんの在廊日に合わせ、パソコンを置いて、リモート在廊という、初の試みにチャレンジしました。

スゲノマロさんだけでなく、家族のネコも参加。画面越しに焼きたてのパンを見せたり、和気あいあいとした時間が流れました。

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スゲノマロさんのアートを帯にしたお客様もリモート在廊に参加。あでやかな姿をリアルタイムで見せることができました。

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2)遠隔地&家族で参加もできる、オンラインでの豆本づくりワークショップ

昨年に続き、スゲノマロさんのテキスタイルを使い、A.B.Mimuraさんが豆本作りのworkshopを開催しました。
今年はオンラインに挑戦!店内でキットを販売し、自力でも、また、急な不参加でもつくれるよう少しハードルを下げたくるみ製本です。

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3)記念グッズが封入された、通販セット

グッズが欲しい、パンも食べたかった!というファンの方に向け、グッズ全点と、パンオスリールで一番人気の「店主の選んだお任せセット」を一緒にした「ゆめまぼろしお任せパンセット」を、期間中につくりました。

遠隔で来店できない皆さんと、パン屋が楽しくありがたくコミュニケーションできた取り組みです。

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4)グッズとパンでプレゼント

さらに、お二人の発案で、オンラインでワークショップに参加した方や、店内でグッズとパンを買った方に、オリジナルメモ帳のプレゼントも。

少しでも、パンと作品を一緒に楽しんでもらいたいという、お二人の心配りの様々なアイディアに、温かい気持ちになり、もちろんお客様も大喜びです。

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3)日々更新するSNS

そして、お二人は、日々、情報を更新。特にスゲノマロさんのSNSでは、あたかも彼女が現場にいるかのような気持ちにさせる情報がいっぱい。

スゲノマロ→@sugenomaro / A.B.Mimura →@abmimura

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●会期を終了して 二人のアーティストより・・・・・・・・・・・・・・・・・

来年こそ皆で集えることを約束し、無事に会期が終了。来年2022年は7月にお目見えします。

 

◆ sugenomaro  スゲノマロ/画家、イラストレーター 1982年福島県生まれ。福島、東京を中心に展示会を開催。 漆黒ドローイング、イビツなハリ絵、極彩色テキスタイル 。ニッチな雑貨、ナンセンス絵本。 https://www.sugenomaro.com/  

本日をもちまして、 『源氏物語×和歌×花鳥風月 ゆめ まぼろし』は終了いたしました。 去年に続きコロナ禍の厳しい状況ではありましたが、皆様のおかげで何とかやり遂げることが出来ました。 本当にありがとうございます。 オンラインワークショップやリモート在廊など新しい事にも挑戦。 やればできるんだな… でも次こそは東京いくぞ!  

 

 

◆  A.B.Mimura ミムラアキコ/企画・編集・執筆 福島県生まれ。出版社を経て、販促物企画・制作、機関誌編集に携わる。2018年3月、絵本『きいろいくものすのおはなし』を発表後、画家sugenomaroと出会い、紙媒体での制作を続ける。 共著に絵本『てふ ひらり はたり』、短編『白鷺の野辺送り』。 https://www.bluebutterflies.tokyo/   

パンオスリールでの二人展 源氏物語×和歌×花鳥風月 ゆめまぼろし 2年連続2回目の展示を無事終了しました リベンジのリベンジのため 来年3度目の正直めざします お会いできた方、また来年お会いできたらうれしいです お会いできなかった方、来年こそお会いできたら何よりです

 

 

 

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