ギャラリーは、近松素子さんの銅版画の世界です。
彼女の作品には、静物にも、生き物にもみえる、不思議で、奥行きのあるモチーフが描かれています。
穏やかな色。日本的でもあり、無国籍にも見える・・。見る人にゆだねているような静かで心豊かな世界が広がります。
作者がこだわり続けてきた銅版画の美しさを、間近に感じる2週間です。
会期開催にあたって 作家より-----------------------------
「無色からの色」throughoutによせて
細密で黒い絵…そういったイメージが強い銅版画。
間違いではないのですが、銅版画の絵具(インクと呼んでいます)はカラーも豊富で、混ぜれば無限に色を作れます。
カラーの作品を作る近松ですが、イメージが浮かんだ時は無色です。自分が何を作るべきか見えた時には、色はないのです。
版を作っている間もそこには色はありません。
刷る段になって、版とラフなイメージスケッチを前にし、対峙していく中で色を探します。ゆっくりあぶり出してゆくような。
本展のタイトルは昨年と同様、「エブリデイ、フォエバ」。
副題をthroughoutとしました。
これは前の会期に展覧会をしている西村公一氏の展覧会タイトルから引用したものです。
日常を生きていくことを光として捉え、制作している近松ですが、日々溢れる色とりどりを一旦リセットし、改めて色を探し出す。その行為と、その行為によって創り出されたものが、私にとっての「throughout」と考えました。
無色の中から浮かび上がった色が、見る人の中に溶け込んで、その人その人の日々の中に彩りを添える事ができたらと思います。
本展では、西村氏の展覧会からバトンタッチを受けて、共作も引き続き展示します。異なる技法の作家が、それぞれ追うイメージを重ねる事で、また違う何かが現れました。この偶発的に生まれた空間を、作家自身も楽しんでいます。
近松素子
●近松さんの展示会がはじまるまで-----------------------
近松さんは、関西で活躍する銅版画家。兵庫・大阪はもとより、東京でも定期的に個展を開催しています。
今回のパンオスリールでの個展時期にも、グループ展を含めた3か所の会場で、精力的に作品を公開しています。大忙し。
東京に来てからも、開催日に間に合うよう、額入れなど最後の仕上げをホテルで完成させるなど、寝る間も惜しんで準備を重ねました。
●西村公一と近松素子--------------------
そんな大忙し彼女を、ある意味、支え続けたのが、盟友・ハートの作家西村公一氏。
西村さんは、近松さんの個展の前の週まで、個展「Throughout in my heart」を展開しました。
そして、近松さんの個展のタイトルは、「everyday forever_vol.2 throughout」。
この共通のタイトル「throughout」には、2月、3月続いていく、二人の作家の想いがこめられています。
二人は、1996年に2人展「through」を展開しました。
23年も前に2人展をやった2人が続いてそれぞれ、個展を開催することになったことから、その頃を思い出しつつ、今現在のthroughout を表現したい・・そんな想いをこめて、それぞれの作品に取り組みました。
また、タイトルのバトンを渡すことにとどまらず、今回、二人は、共同作品に挑みました。
23年前に、近松さんの版画に、西村さんが作品を重ねた共同作品をつくったそうですが、今回は、西村さんのラミネートを預かった近松さんが、その上に、版画を重ねていくというアートにチャレンジしたのです。
西村さんの個展の期間中に飾られたこの共同作品は、そのままの壁面として、近松さんの個展でも展示を続けました。
近松さん談「前の会期のハートの絵描きこと#西村公一 くんとの共作も引き続き展示しています。シンボリックなハートというモチーフに近松がチャチャ入れてるような感じとか、ラミネートに銅版刷ってるのとか(刷れるんです!!…インクは乾きませんがw)、中々おもしろいので、こちらもお見逃しなく?。」
東京在住の西村さんは、近松さんの個展の設営も、精力的にサポートし、会期中も何度も足を運びました。
初日の様子。西村さんの長男・たくとくんも久々の来店。
●作品の数々-----------------------------
彼女の作品は、不思議で、奥行きのあるモチーフと、銅版画のイメージを一新するような豊富なカラーが特徴。
そして、「無秩序な諸君」「すぐそこにあった」「預かってます」など、哲学的ともいえる、独特のタイトルも魅力的です。
小さな作品群は、たくさんの方が、お家に連れ帰りました。
●会期を終えて--------------------
会期中、近松さんは、足しげく通い、そのたびに、モーニング、ランチ、フレンチトースト、新作の焼き立てパンと、作品への取り組み方同様、精力的にパンを食べました。そして、その気さくな性格で、スタッフをはじめ、多くの人とおしゃべりを楽しみました。
東京にも彼女のファンは多く、訪れる方も絶えない、楽しい2週間でした。
この写真は、搬出。最後も手伝いに来た西村公一さんと、次の展示をする池上さんとのご対面。バトンをつなぐ作家同士が意気投合するのもパンオスリールのギャラリーの特徴です。
作家より 会期を終えて-----------------------
3月16日土曜日に、パン・オ・スリール(渋谷)での「近松素子展_エブリデイ、フォエバ」、無事終了致しました。
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お運び頂いた皆さま、気にかけてくださった皆さま、ありがとうございました。パン・オ・スリールの須藤ご夫妻、スタッフの皆さま、お世話くださった西村公一さんに心から感謝申し上げます。
日々の暮らしに欠かせないパンの中に、自分の作品があるというのは至福の喜びです。エブリデイ、フォエバ。このテーマを掲げて、また来年。楽しみだー!
そして銀座へ---------------------
翌週からは、銀座のOギャラリーで、三人展。本当に大忙しです。
最
他のお二人の作品もすてきです。
来年三月もパンオスリールとOギャラリーのリレーで、み
近松素子
な個展
ギャラリー白(大阪)’90 ’99 ’00 ’04 ’07 ’09 ’11 ’13 ’15 ’17
Oギャラリー(東京)’08 ’10 ’12 ’14 ’15 ’16 ’18
OLD BOOK & GALLERY SHIRASA(神戸)’11 ’12 ’13
ギャラリーアライ(兵庫県西宮市)’16 ’18
他多数
主なグループ展
Internatinal Print Exchang programme(インド)’17
ギャラリズム in 中津(大阪・ギャラリー白より出品)’17
いきづく空間(大阪)’05〜毎年 ’19年3月18日〜24日まで銀座Oギャラリーにて開催予定
アトリエ凹凸展(西宮・大阪・東京・仏・露)’93〜毎年